オリジナル食器 色を変える

工夫次第で!!

今あるこのどんぶりの色を変えたい、こんな風に考えたことはありませんか?

既製品の形状を生かしつつ、色だけ変える、というのは、プロの我々でもよく使うオリジナルデザインの手法です。うわ薬=釉薬を既成のものと変えてやる、ということです。

「おすすめ」とはいいましたが、超えられない壁がたくさんあるのもこの方法です。思ったように色が出ないこともしばしば。技術的にできない色は多種あります。その窯が普段他の製品で使用していない釉薬を使用しない全くの「オリジナル」なら、300個とか、そういったロットを要求されることもあります。飲食店ならチェーン店でないととても無理な数量です。

でも工夫次第で「オリジナル」の可能性はどんどん広がります。これを読んで勝手に判断しないで、まず一度ご相談ください。よいアイデア、ひと工夫で解決、気に入った器ができるかもしれません。

オリジナル食器 形から製作

どこまでがんばれる?ロットの問題

オリジナルな形状のものを制作する、だれが考えても大変なことです。陶磁器の場合、大量生産品から完全手作り品まで作り方は様々です。たとえば、手作りならオリジナル形状はさほど困難なものではありません。作り手に「ここをこうやってこうやって・・・」と口で説明すれば何とかそれらしいものを作ってくれます。できあがるものは、いわゆる一点もの。大量生産の工業製品とは全く趣の異なる、味ある器が手に入るでしょう。仕上がりとかはいろいろ制約があるので、たとえば、きれいな白磁のプレートなどはちょっと無理かもしれませんが、これは、なかなか有効な手段です。陶芸家みたいな人が知り合いの知り合いぐらいにいるなら、駄目もとで相談してみてはいかがでしょう。

ロットの問題が生じるのは「型」を使って制作する場合です。絵をつけるコーナーの転写の版と同じようなことが、もっとスケールが大きくなってのしかかってきます。

工業製品としての陶磁器

まず、はじめに言っておきますが、陶磁器を成形する方法は、乱暴にわけて2種類あります。型に粘土を流し込んで作る方法と、ろくろを使って回転させながら小手で成形する方法です。(本当にかなり乱暴な分類です。厳密には、もう少し細かい区別や他の方法もありますが・・・ここは便宜上これで。)量販店で食器を購入するとき、楕円や筒型の食器と丸い皿の価格に差があるのに気づきます。丸い皿の方が同じぐらいの大きさならかなり安いのです。一般的に、楕円や筒型の食器は前者、丸い皿は後者の制作方法で生産されています。価格の差はこの2つの方法の生産効率の差で生じます。ろくろの方が、短時間で大量に生産できるのです。オリジナル食器制作の場合、これは生産ロットに直結します。ろくろでの生産は一個あたりのコストは抑えられますが、最小ロットはかなりの量を要求されます。オリジナル形状で制作するなら、通常ろくろで作るものでも、後者の、型に粘土を流し込む方法をとることが多く、型のコストを別にしても多少割高になります。まあ発注者側からすれば制作方法は関係ない、といえばそうなので、これは知識として頭に入れておく話でしょう。厳密にはこんな単純な話ではなく、不良品の出やすさとか、その他諸々の要素を考慮して決定しています。

いよいよ型の話

これから先は、先ほどの話の前者の方に絞って話しをします。実は、ろくろでの制作は、いままでほとんどものになったことがなく、まず途中で断念されるケースが多いです。最近では、ろくろでも小ロットで作る方法も考えられているようですが。いずれにしても両者はクライアント側からは見積もりの表現方法がちょっと違う程度の話ですから。

陶磁器はプラスチック製品などと違い、「金型」ではなく「石膏型」を使用します。容易に予想できることですが、「金型」に比べ「石膏型」はかなり安いです。いったいどのくらいなの、という質問は、あまりにいろいろなケースがありすぎるので、非常に答え辛いですが、経験上100万円まではかかりません。たいていの場合はそれよりずっとずっと安いです。通常、「型代」には原型の製作代と制作に使用する型の両方を含みます。原型の制作に修正代2回分を含んだりして見積もったりします。原型は別として使用型は消耗品です。普通は発注数量や納期を考慮していくつ作るか決めます。たとえば、後から追加で作る場合、この使用型は、また作らなければならないことがほとんどです。要するに、追加制作で。追加型代が発生する場合があります。発注数は慎重に決定してください。

さあどうします?

型代を入れれば、既製品よりは絶対コスト高です。実際の話、特注色を制作したり、特別な形状の制作の話は結構あるのですが、実現までこぎ着けるのはほんのわずか、です。大抵の場合、コスト高にあきらめてしまうケースがほとんど。それでも、たとえば戦前から使っているどんぶりをなんとか復刻してほしい、などという話はなんとか実現までこぎ着けて、お客様に満足していただいているのもまた事実です。このページを読んで「やっぱりだめか・・・」とすぐあきらめてしまう前に是非ご相談いただきたいものです。

イメージ通りの器が完成して、発注者に喜んでいただくことが、注文を受ける側の一番の喜びです。